クーリィの歴史

 

クーリィの歴史1

クーリィの昔話。1973年に生まれた頃の話をしようかねえ。 まだガンダムもエヴァも。ヤマトすら世の中に認識されていなかった頃のことを。 創作まんが研究会なのにどうしてアニメが出てくるのかと訊きたそうやね。そう。 それこそがその頃のまん研の姿であった。――そういうことやわ。

まんがが大好きな者たちは少年まんが好きと少女まんが好きとに おおまかに分かれとった。 けどな、アニメは未だ子供向けでしかなかった。昔々まんがが低俗物として扱われていたように、 ファンは公言できずにいた。アニメが好きな者はまんが好きの内に潜り込むしかなかったわけや。

そんなことで、クーリィに入ってきた十代二十代の男女は様々なまんが愛好家やった。 クリムソン・グローリィという名が示す通り少女まんが志向の会やけど少年まんが好きも居ったし、 集会に出てくるたびにアニメを熱く語る者も少なくなかった。ごった煮状態だったわけや。 ロック少女足穂信奉者薔薇族百合族。それはもう百花繚乱、個性豊かな面々がさんざめいていた。

クーリィがどうして今も在るか。 クーリィが他のまん研の生き血を吸って生き延びているという噂も根強くある(笑)。 あの頃、購読会員制を持っていた数多の会はことごとく潰れていった。それは見事に死屍累々と。 だがクーリィは持っていなくて生き残った。クーリィは実作者しか入会させて来んかった。 つまり、そういうことや。……ああ、長い話になりそうや。昔の話はここまでにしとこうかね。

クーリィ村 古老  談

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